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 「原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」という一念で、昭和45年に昔ながらの“完全”な手造りによる純米酒の醸造に着手した弊社、西田酒造店。
昭和49年の発売以来、皆様にご愛顧頂いている『田酒』がどのような工程で完成に至るのかを、写真家・名智健二氏撮影による写真と合わせて紹介していきます。

洗米・浸漬

洗米・浸漬

撮影・名智健二【洗米】
 醸造される酒に沿った精米歩合で精米された酒造好適米は、「洗米」の作業によって、米ぬかや余分なタンパク質、カリウム分等を洗い落とします。その際、白米が割れないように細心の注意を払って行います。
【浸漬】
 秒単位で白米に水を吸わせ、秒針を見つめる杜氏の号令一下、蔵人が呼吸を整え水切りをします。「浸漬」は後の蒸米の良否を左右するため、非常に神経を使う作業といえます。

蒸米[ふかし]

蒸米[ふかし]

撮影・名智健二
蒸米 ふかし
 「麹造り」の際、白米のでんぷんが糖化しやすい状態にするための作業。

 総米量2トン仕込みの甑(こしき)で水切りした白米を蒸し上げます。水分を吸って壊れやすくなっている白米を上手に蒸すには、杜氏の熟練した経験が不可欠です。

放冷

放冷

撮影・名智健二
放冷
 甑(こしき)から蒸しとられた蒸米を素早く筵(むしろ)に広げ、自然の冷気で適温まで下げます。

 蒸米は用途によってそれぞれの適温が異なるため、それに合わせて冷却します。

種切り

麹造り

撮影・名智健二
麹造り
 麹室(こうじむろ)の床一面に広げられ、冷まされた蒸米に、麹菌を均一に植えます。菌糸が蒸米に破精(はぜ)込み、蒸米で繁殖した状態を「米麹(こめこうじ)」と言います。米麹は酵素によって蒸米のでんぷん室を糖化させたり、米の成分からいろいろな物質を造り、酵母(こうぼ)の栄養となってその働きを助けるなど、醸造過程において多くの役割を果たします。

酒母[酛(もと)]

酒母[酛(もと)]

撮影・名智健二
酒母[酛(もと)]
 清酒の「酒母」は「酛(もと・酉偏に元)」とも呼ばれ、蒸米・米麹・仕込み水の混合物に、優良な酵母を純粋培養したもので“生酛(きもと)法”と“速醸酛(そくじょうもと)法”の二つに大別されます。

 「生酛(きもと)」は、乳酸菌の自然発酵を促し雑菌の繁殖を抑えるために、蒸米・米麹・仕込み水を桶の中で数時間かけてすりつぶす“山卸ろし)と呼ばれる非常に労力と時間のかかる作業を行います。因みに「生酛(きもと)」の簡略型と言えるのが「山廃酛(やまはいもと)」です。

 対して、「速醸酛(そくじょうもと)」は、化学生成された乳酸を添加してすみやかな発酵を促す醸造方法で「生酛(きもと)」より早く安定した酒造りが出来ます。

醪[もろみ]

醪[もろみ]

撮影・名智健二
醪[もろみ]
 仕込みタンクの中で、酒母・米麹・蒸米・水を一緒にすると酵母の働きによってアルコール発酵が始まり、日本酒の前身とも言うべき「醪(もろみ)」が出来ます。

 醪(もろみ)タンクでは、麹による蒸米の糖化と酵母による糖の分解で起こる炭酸ガスの発生とアルコール化が平行して行われます。

 また、醪(もろみ)タンクの周りについた泡を取り除き、常に清潔を保ちます。

槽掛け[ふながけ]

槽掛け[ふながけ]

撮影・名智健二
槽掛け[ふながけ]
 発酵させた醪(もろみ)を「槽」(ふね)と呼ばれるしぼり器で圧搾し、原酒と酒粕に分けます。
 伝統的な佐瀬式のしぼり器に、酒袋に詰められた醪(もろみ)を積み重ね、自然圧搾によって原酒が搾り 出され、槽口(ふなくち)から滴り 落ちます。圧搾直後の原酒は白濁しているため、「滓引き」して貯蔵、熟成させてから次の作業へと移ります。

火入れ

火入れ

撮影・名智健二
火入れ
 上槽された清酒の殺菌と酵素の働きを止めるため、60℃前後の熱を加える事によって低温殺菌します。これは「火落ち」を引き起こす乳酸菌の一種、火落菌を殺菌するのに非常に効果的で、新酒の貯蔵前の重要な作業です。

 また、純米大吟醸や純米吟醸酒は、酒自体の香りや旨みをそのまま封じ込めるために瓶詰め後、特製の瓶燗機で64℃まで一本一本丁寧に加温し、瞬時に冷却する事でヒネを防ぎます。<上画像参照>

 この後、貯蔵タンクや瓶で熟成された『田酒』が皆様のお手元へと届きます。